代休と振替

 業務が多忙のため従業員に休日に出勤するよう命じ、後日代休を取るよう指示をしました。給料日の日にある従業員から、休日に出勤したときの割増賃金が支給されていないと言われました。代休を与えているのに、割増賃金を支払わなければならないのでしょうか?




 代休と振替は似ているようで、だいぶ異なります。


 振替…休日と定められた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とすることをあらかじめ特定したとき。 代休…休日労働させた後にその代替措置として通常労働日に労働義務を免除するとき

 例を挙げますと、休日である日曜日に出勤させ直後の水曜日を休みと指定すると、あらかじめ休日を特定しているので振替となり日曜日の労働については休日の割増手当を支払う必要はありません。また、直後の水曜日は休日になるので労働義務は発生しません。ただし、振替で日曜日の出勤があった週の法定労働時間を超えている場合は、時間外労働の割増手当が生じる場合がありますので注意が必要です。

 休日である日曜日に出勤させた後、代休として直後の水曜日に休んだ場合、あらかじめ休日を特定していないので日曜日の労働は休日労働となり、休日の割増手当を支払う必要があります。また、代休の付与を義務付けているわけではありませんので、水曜日を休んだ分については本来労働の義務があるのに使用者の都合で労働させなかったことになり、休業手当として平均賃金の100分の60以上を支払う必要があります。

 

 なお、休日の振替を行う場合は就業規則等において振り替える事ができる旨を定めておく必要があります。