ひげや茶髪をやめさせることはできるか?(身だしなみについて)



 @ 配送担当の従業員のことですが、得意先からひげが汚らしいから来させないででほしいというクレームがありました。本人に注意したのですが、ある芸能人を真似て手入れはしているとのことですが、ひげはやめてもらいたいのがどのような対処を取ればいいのでしょうか。(運送業)

 A アルバイトで茶髪にしているものを採用しました。非常によくやっているのですが、本社から担当役員が来社したとき彼の頭髪が気に入らなかったらしく今週中に髪を染めなければ解雇すると本人に予告してしまいました。問題はないでしょうか?(商業)

 B 当社は調剤薬局なので社内では華美な服装やアクセサリー、マニキュアを禁止していますが従業員の一人がどうしても言うことを聞かないで困っています。

 C うちの女性事務員の服装を事務所全員(事業主含め、男性女性事務員)誰も気にしていなかったのですが、胸元が開いている服を着ているということで関係の役所で有名になっていることを他の同業者から聞きました。うわさになるのは好ましくないのですが、注意しても問題ないでしょうか。(資格士業)



 基本的には、おかしな格好や不潔であるのであれば業務命令で改善を促し、応じなければ懲戒に当たるとして処罰は可能でしょう。しかし、ひげや茶髪は「容認できる限度」かどうか判断するのが非常に難しいです。

 まず、就業規則に服装、身なりに関する規定を定めているのであれば、その範囲内において注意・指導するのは問題ないでしょう。ただし、業務命令で規制するのであれば具体的な理由が必要です。根拠のない注意であれば問題が起こります。特に男性から女性に対して身なりについて指導する場合、セクハラと受け取られる可能性もありますから要注意です。

 今回の事例ですが、@は実際に顧客からクレームが来ているのであれば、相手に不快感を与えているわけですから客観事実に基づいて改善を求めても問題ないでしょう。

 Aは、今まで問題になっていないのですし、特に注意を与えているわけではないので解雇はできないのはもちろんですが、懲戒処分を行うのも難しいでしょう。

 Bはどこまでが華美かの判断が難しいですが、大半の人が同様に感じるのであれば注意・指導をして、それでも改善がなければ配置転換もやむをえないでしょう。医療関係の事業場では、服装等の規定を定めているところが増えています。

 Cのケースは、10人未満のところなので就業規則はないのですが、事業主(男性)よりも女性の先輩から話した方がいいのではとアドバイスしました(事業主の奥さんが経理を担当して事務所にいるので、奥さんに話をしてもらうことにしました)。