1日10時間労働の契約は認められるか


 新たに社員を採用することを考えていますが、顧客の要望からどうしても残業が多くなるので始めから1日の労働時間を10時間とすることは可能でしょうか。



 労働時間は一部の事業場を除き、労働基準法第32条で1週間で40時間、1日8時間と定められています。また、第13条では、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」としています。


 結論として、この労働契約の労働時間の部分は無効とされ8時間労働として取り扱われます。繁閑の差が大きい事業(製造業など)であれば、1年単位の変形労働時間制又は1箇月単位の変形労働時間制を導入して、1週間の労働時間が平均して40時間になるのであれば、8時間を超える労働が認められます。導入の際は、労使協定や就業規則の変更、所轄労働基準監督署への届出などが必要になります。


 ただし、「労働時間8時間で、必要があるときは業務命令で2時間の時間外労働がある」という記載方法であれば違法とはいえません。