休業予定の日に有給休暇の請求はできるか

 @景気の低迷のため、助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)を利用して当分の間月に2〜4日程度従業員に休業してもらっています。休業した日は、休業手当として平均賃金の60%支払っています。一部の従業員から、給料が減ってしまうため休業日に有給休暇を使わせてほしいという要望がありました。認めなければならないでしょうか?

Aまた、従業員代表との協定を作成する前に有給休暇の申出があった場合で、たまたま申出のあった日を一斉休業日にしたいと思っていた日と重なってしましました。変更してもらうことはできますか?

 


 @中小企業緊急雇用安定助成金(以下 助成金という)は、生産量(受注量)が大幅に減少した企業に対し雇用の維持を目的に休業した日の一部を助成する制度です。労使協定で休業する日をあらかじめ決め、休業した日については労働基準法第26条で定められた休業手当(平均賃金の60%以上の額)の支払が義務付けられています。

 例として、平均賃金が10,000円の従業員であれば休業手当は6,000円以上支払う必要があります(助成金を利用する場合、支給率を労使協定で定める必要がありそれを下回ることはできない)。そのため、この従業員は休業を命じられるたび通常に勤務していた時に比べ1日当たり4,000円少なくなります。働く側として、余っている有給休暇を利用したいと思う気持ちは分かります。

 しかし、休業を命じたことにより労働義務を免除されているため有給休暇の発生する余地がなくなってしまっています。そのため、休業を命じられた日については有給休暇の取得は認められません。

 Aは@とは反対のケースで、従業員が先に休暇を申し出ている場合です。労働義務がある日について有給休暇の申出をしているので手続の上では問題ありません。しかし、有給休暇を取得の申出を変更することはできません。この場合、有給休暇を取得する日が緊急事態などにより変更する時季変更権を行使できる余地もないため、この有給休暇を認めなくてはなりません。労使協定は、この従業員を除いた他の従業員に対して休業を命じることはできますが、この従業員はその日については労働日とし結果として有給休暇を取得したという処理になります。