労働基準監督署から是正勧告書・指導票を受けたら



 労働基準法や労働安全衛生法等は、法律を遵守させるために刑罰を設けて法違反を抑止しています。しかし、労働基準法や労働安全衛生法等は、労働者保護を目的としているので法違反に対して刑罰を与えるやり方ですと、労働者が被害を及ぼさないうちに防止する方が、罰則を与えるより即効性があるといえます。法律違反の事実を確認する役目を与えられているのが、労働基準監督官(以下「監督官」)です。


 ・監督官の権限

 監督官が事業所に立ち入り調査をすることを「臨検」といい、監督官には次の権限を与えています。

 @ 帳簿・書類等の物的証拠を提出するよう求める「提出要求権」

 A 事業主又は労働者に証言を求める「尋問権」

 B 附属寄宿舎の即時処分権

 C 労働安全衛生法に基づく検査をする権限


 監督官は、司法警察官としての身分を持っているので、悪質な違反に対しては法令違反として書類送検や逮捕することがあります。また、重大な労災事故が発生した場合、送検手続をすることが増えています。


 ・臨検

 臨検は、定期的に行う場合や労働者から法令違反の申告を受けて行う場合など、さまざまな形で行われています。昔は、労災事故が多い建設業・運輸業・製造業に対し臨検を行っていましたが、現在は不規則な勤務体系等で過重労働が多いと思われるサービス業や医療・介護機関等幅広く行われています。

 臨検の目的は法律を遵守しているかの確認と、違反に対して是正させることにあります。臨検をあらかじめ予告するしない各監督官の対応によって異なりますが、一般的には建設現場を臨検するときは作業内容を確認するので予告することはないようです。帳簿の確認や証言を求めるときは準備の関係上、連絡があるようです。臨検があるときは事業主の立会いを求められます。事業主が立会いできないときは担当役員や人事総務責任者でも構いません。


 ・是正勧告書・指導票

 監督官が事業所を臨検した際、違反を発見したとき事業主に対し「是正勧告書」を交付します。是正勧告書は、違反している内容と是正措置について書かれており、期限までに是正報告書を提出するようになっています。また、法令違反ではないが労務管理や安全衛生上、好ましくない行いをしている場合は指導票を交付しています。


 是正勧告書が交付されると、事業主は勧告書の本旨に沿った是正措置をとらなければなりません。指摘された違反を的確に把握し、どのような措置をとれば適切に是正されるのか検討する必要があります。


もし、是正勧告書を交付された時は、当事務所にご相談下さい。適切なアドバイスから報告書の作成まで対応いたします。