必要なことはやっていますか?
 @解雇理由を確認しましたか
   解雇・雇止めの理由をはっきり確認してください。また、解雇理由は書面を書いてもらったほうが、トラブル解決
  の近道になります。解雇理由なしや会社の雰囲気に合わないなどは解雇の理由としては成り立ちません。

 解雇理由の例
  ・業績不振のため・事業縮小のため(整理解雇)
  ⇒役員の報酬のカットや経費の削減など解雇回避の努力がが行われ、会社の状況説明がありましたか?
    解雇した後、新たに採用が行われていませんか?
    あなたの行っていた仕事(又は事業場)は、今まで通りの規模で運営されていますか?
   
  ・懲戒解雇
  ⇒会社に就業規則はありますか?
    社会常識からみて、不当に重い罰だと思いますか?
        言い渡された理由に心当たりはありますか?

  ・仕事ができないからやめてほしい
  ⇒他の従業員と比べて、著しく能力の差がありますか?
    その仕事に対しての教育や指導がありましたか?

   すべての解雇には、社会的常識から見て誰もが納得できる合理的理由が必要です。それがなければ、たとえ法令に
  違反していなくても解雇権濫用として法的に無効とされます。
   合理的理由があるか、解雇権の濫用ではないかを判断するに当たっては、就業規則の解雇に関する定めとその合理
  性、労働者側の責任事由の有無・程度、解雇にいたるまでの使用者の態度、業務上の必要性、他の例との均衡、その
  他の事情を総合して判断します。  

   判例では、「当該具体的事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものと
  して是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になる」(高知放送事件最判
  昭和52年1月31日)といっています。
   この事件は、アナウンサーが朝のラジオのニュース番組を寝坊により放送事故を2週間に2回起こし、2度目の放
  送事故に関しては直属上司に報告せず、これを知った部長に事故報告書を求められ、事実と異なる事故報告書を提出
  したことにより会社はこのアナウンサーを解雇したというものです。

 A自分から退職届を出したり、退職に同意していませんか
   争うのなら、退職届や同意の撤回等の通知が必要になります。退職届や同意の意思を示しますと、解雇ではなく自
  らの意思による退職すなわち自己都合退職になります。

 B退職金解雇予告手当を受領したままになっていませんか
   解雇を争うのなら、受領したままになっていると解雇を認めたと受け取られる恐れがあります。解雇後の賃金に充
  当する通知をしたり、受取を留保する(受取拒否、返還、供託、一時預り通知等)必要があります。
 
 C離職票の離職理由を確認しましたか
   解雇を受け入れたとしても、離職票の解雇理由がの記載内容が実際と異なっていると、雇用保険の支給が遅れたり、
  給付日数が異なってきます。


   解雇予告制度
   法令に違反していない合理的な理由のある解雇であっても、労働者を解雇するときに労働基準法第20条により使用者
  は解雇の予告をしなければなりません。解雇予告の方法は次の通りです。

  @少なくとも30日前に予告をすること
   この場合は解雇予告手当を支払う必要はありませんが、この間の労働に対する賃金は支払わなければなりません。

  A30日前に予告をしないときは、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払うこと
   解雇予告した日数が、30日未満であったときは、足りない日数分の平均賃金を支払うと予告日数が短縮される。例え
  ば、解雇予告期間が20日のときは平均賃金の10日分以上を支払えば義務を果たしたことになる。

   解雇予告・解雇予告手当が不要な場合

  @解雇予告の除外認定を受けたとき
   天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続ができなくなった場合や労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇
  する場合で、所轄労働基準監督署長の除外認定を受けたとき。懲戒解雇でも除外認定が必要ですので、除外認定を受け
  る前に解雇すると解雇予告手当を支払う義務が使用者に発生します。

  ・天災事変その他やむをえない事由とは
   天災事変に順ずる程度の不可抗力に基づき且つ突発的であり社会通念上取るべき必要な措置をもってしても通常如何
  ともなしがたいような事由のために、事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合をいう。(63.3.14基発150)
  と、いう通達が出されています。
   また、事業場が赤字のため閉鎖して労働者を使用者の責任において他の事業場へ斡旋就職せしめた場合においても当
  該労働者の任意に退職を申し出ない限り解雇予告の適用がある。(23.7.29基発769)と、いう通達もありますので、
  単に経営不振(この中には、注文の減少や税金滞納による機械の差し押さえなども入る)というだけでは解雇予告除外認
  定の要件には当てはまりません。

  A制度の対象外にあたる者(解雇予告の必要のない労働者)

  ・日雇労働者(1ヶ月を超えて引き続き使用されるにいたった場合を除く)
  ・契約期間が2ヶ月以内の者(所定の期間を超えて引き続き使用されるにいたった場合を除く)
  ・4ヶ月以内の季節労働者(所定の期間を超えて引き続き使用されるにいたった場合を除く)
  ・試の使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されるにいたった場合を除く)